岸田氏のあいさつをリモートで聞く支援者ら/9月17日、広島市 (c)朝日新聞社
岸田氏のあいさつをリモートで聞く支援者ら/9月17日、広島市 (c)朝日新聞社

――「引き際」って言葉は、もはや自民党とは縁がないのでしょうか。80歳を越えた幹事長や副総理らには老害批判もある。小泉純一郎首相は、もう一期やってほしいと引き留める声があるなかで、スパッとやめた。64歳でした。

比例区の定年制はありますが、「人生100年時代」ってフレーズが出てから、事実上消えました。年齢差別は良くないと思うけれど、コロナ禍で一気にDX(デジタル化による変革)が進むなか、もう俺の時代ではないと引退を表明した議員が、ものすごく多いのも事実です。

──「森友問題の再調査」を河野さんは「必要ない」と。「安倍晋三さんへの忖度(そんたく)か」と、ヤジが飛びました。

 問題は文書改ざんです。お一人亡くなっているわけですから。政治家が誰一人責任をとっていないところが問題だと思う。河野さんもご遺族に寄り添う姿勢が大切との発言をされました。

──「脱原発」は封印ですか?

 方向性は全く変わっていません。新増設はしない。将来的に原発はなくなる。核燃料サイクルも、いろんなところに目詰まりがあるのは、みんなが分かっている。もう見て見ぬふりはできません。「原発ゼロ」が明日できるとは、だれも思っていない。問題提起の政治家から、一国の総理を目指す立場になり、発言内容に時間軸が加味されるようになっただけでしょう。

――「チーム河野」はどんな人たちが集まっているのでしょう?

河野さんが12年前の2009年に総裁選にデビューした時に、集まった人が多い。自民党は下野をしたばかり。失意の中にあって、自民党を変えなければいけない、という思いが強かった。小泉さんの後の政権は、自民党の中のムラの理屈がかなり優位に立っていた。われわれは反省をし、いろんな議論を重ね、もう一回政権を取り戻すことができた。しかし時間がたてば、ムラの理屈に戻ってくる。もう一度初心に戻らなくてはいけない。(チーム河野は)フラットな組織で、河野さんから直に、平さんこれ頼むよ、これやってくんない、とメールがきたり、ツイッターやフェイスブックでやりとりしたり、しています。

(構成/ジャーナリスト・菅沼栄一郎)

AERA 2021年10月4日号