清宮はどうだろう。すべての球種をうまく打とうとしていないか。自分の形でスイングできなかったものはすべて駄目。それくらいの割り切りで今はできているか。2軍の試合をなかなかチェックできないが、いくら140キロの球をうまく運ぼうが、150キロは打ち返せない。飛距離も出ない。そのことはプロに入って4年でわかっただろう。
投手でも、オリックス・宮城大弥、ヤクルト・奥川恭伸など、20歳そこそこにしてチームの軸となり得る実力を発揮してきている。今はトレーニング技術、データによる解析などが進み、選手の進化のスピードは速い。いつまでも待ってはくれない。
小手先だけでの「巧さ」は、数年たったら追いつかれる。芯の強さを持った社員が経験を積めば、いつかは抜かされてしまう。プロの世界は結果が出なければそこで終わり。せっかく同期に素晴らしい人材がいる。清宮の変身した姿を1軍で見たいと思うのは、私だけではないはずだ。
10月11日のドラフトでは、清宮世代の大卒選手が指名される。危機感はあると信じたい。
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
※週刊朝日 2021年10月8日号