コロナ禍でリモートワークが普及した今、旅行と仕事を両立する「ワーケーション」の注目度が高まっている。そうした中、積極的に取り組む自治体や、企業の新サービスといった動向も見逃せない。AERA 2021年10月4日号の記事を紹介。

長野県千曲市のワーケーションでのひとコマ。自然豊かで、絶景ポイントが多いのも自慢の一つ。右が田村英彦さん(写真:ふろしきや提供)
長野県千曲市のワーケーションでのひとコマ。自然豊かで、絶景ポイントが多いのも自慢の一つ。右が田村英彦さん(写真:ふろしきや提供)
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 コロナ前の2019年8月から、いち早くワーケーションを打ち出してきたのが長野県千曲市だ。20年には県の「信州リゾートテレワーク」のモデル地域に認定。官民連携で様々な体験会を実施してきた。

 しなの鉄道と連携し、リゾート列車「ろくもん」を貸し切りにした「トレインワーケーション」や、温泉に滞在しながら信州の社会課題をテーマに「アイデアソン」を開催。地元の旅館に泊まって温泉やグルメを楽しみ、地域の魅力を再発見する「地元deワーケーション」など幅広い企画を打ち出してきた。この2年で開催したワーケーション体験会への参加者は、総勢250人にもなるという。

「ワーケーションを通じて、まちづくりにつながっています」

 そう説明するのは、一連の企画をプロデュースする田村英彦さん。千曲市在住で、社会課題解決を目的とした事業のプロデュースを行う会社ふろしきやの代表だ。

 ワーケーションの場合、仕事の時間だけをその地域で過ごすわけではない。食事や買い物、散歩にレジャーといったプライベートも楽しむため、参加者と地元の人たちとの交流が生まれやすい。お互いの強みや専門性も深く知ることで、新しいプロジェクトが生まれるきっかけにもなるという。

「お互いの仕事ぶりに刺激を受けあったり、体験会での出会いをきっかけにして事業につながったりすることもあります。ワーケーションの参加者がチームを組んで、ゲストハウスを運営したいという地元の人をサポートしている例もあります」(田村さん)

 単に観光で訪れて消費活動をするだけではない。プライベートのつながりが生まれて、地域のために力を使ってくれる源泉になる。これがワーケーションが町づくりにつながるゆえんだ。

 頻繁にワーケーションを望む人にとっては、交通費も大きなハードルだ。

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