そうした課題に対して、飛行機のサブスクリプション(定額サービス)を考えたのは、「HafH(ハフ)」。日本航空と提携して、航空サブスクの実証実験を始めた。
HafHは「旅するような暮らし」を掲げ、定額制の宿泊サービスを提供している。固定の住居を持たない「アドレスホッパー」と呼ばれる人たちから、旅好きの会社員まで様々な会員を抱える。そうした人たちにとって、頻繁に、そして遠方に移動しようとするほど、交通費がかさんでしまうのが悩みだった。
8月に募集を始めた航空サブスクは、HafHの会費に追加で3万6千円払うと、3カ月間に3往復の飛行機が利用できるというもの。1往復につき1泊分の宿泊もついてくる。対象は羽田空港発着で、北海道から沖縄まで10路線。定員300人が即日完売し、追加で募集した200人の枠もすぐに埋まったという。
「サブスクなら、ここも行ってみようかな、という気分になります。観光でも出張でもない、新しいニーズを喚起できるのではないかと期待しています」(HafHを運営するKabuK Styleの大瀬良亮社長)
■バケーションではなく、仕事環境を担保する
ワーケーションのバリエーションの一つとして、「ホテルワーク」なるものもある。
ITベンチャーの「ガイアックス」は、ホテルワークの予約サイト「Otell(オーテル)」を運営する。掲載している施設は、高速Wi‐Fiやデスクチェアなどの仕事環境が整ったホテルや旅館ばかり。Otellの渉外担当でワーケーションコンシェルジュも務める千葉憲子さんが説明する。
「これまでのワーケーションは、どちらかというと“バケーション”に寄っていました。旅先でメールチェックするぐらいの感じです。そうではなく、しっかり会社員が使えるサービスに落とし込まないと、ワーケーションは広がりません。そのために大事なのが、仕事の環境が担保されていることだと考えました」
サイトには現在12都府県の38施設を掲載。都市部から公共交通機関で2時間ほどのところばかりだ。「なにかあったときに自宅や職場に戻れる距離」を望む人が多いからだという。