ただ、申請からサービス開始までには、訪問調査や認定審査、ケアプランの作成などの工程があるため、最大で1カ月程度(原則30日以内)の期間を要する。では、入院先から急遽(きゅうきょ)自宅に戻ることになった場合などは、どうすればいいのか。

 東京都江東区の長寿サポートセンター(地域包括支援センター)の主任ケアマネジャーは、「緊急性や必要性が高いと判断されれば、審査結果が出る前でもすぐにホームヘルパーを派遣できます。また、その後の審査結果で『要支援』以上の認定が下りれば、申請した日までさかのぼって(審査結果が出る前に使ったサービスにも)介護保険が適用されます。まずは最寄りの地域包括支援センターに相談してみてください」と話す。

 では、具体的に自宅でどんな介護サービスを受けられるのだろう。

(週刊朝日2021年10月15日号より)
(週刊朝日2021年10月15日号より)

 主に利用するのは、ホームヘルパーによる「訪問介護」だ。これは「身体介護」と「生活援助」の大きく二つに分けられる。身体介護は、食事や入浴、排泄、着替えなど、体に直接触れて行うサービス。一方、生活援助には、洗濯や掃除、食事の準備、買い物のような、家事代行的なサービスが含まれる。ただし生活援助は、一人暮らしか、家族が病気や障害などで、利用者が十分な支援を受けられない場合に限られる。

「例えば、2人暮らしの夫妻で、『妻が病気になり料理ができないので夫のご飯も一緒に作ってほしい』といった場合、妻の食事の準備や介助(食べさせる手伝い)はできますが、夫の食事の準備や片付けはできません」

 介護サービスは社会資源であり、利用者以外の援助や利益に与する行為はできないのだ。

 そのほか、ペットの世話や庭の手入れ、家具の修理などは、介護サービスの対象外となる。必要な場合は民間のサービスを利用しよう。

 訪問介護のほかに、デイサービスやショートステイも必要な場合は、「小規模多機能型居宅介護」の利用を検討してみてもよい。従来は、サービスごとに異なる事業者に依頼しなければならなかったが、同じ事業所のスタッフが「訪問」「通所」「宿泊」サービスを一貫して担当するため、利用手続きが楽で、安心感が大きいのが特長だ。また、もう一つの特長として、利用料が月額制で、月に何回サービスを利用しても料金が変わらない点が挙げられる。

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