※写真はイメージです
※写真はイメージです

 簡易的な治療しか受けられないイメージがあるかもしれないが、下山院長によると「大掛かりなオペやCT検査などの医療装置が必要になるもの以外は、在宅でも病院とほぼ同等の治療を受けられる」という。例えば、点滴や注射、薬の配達のほか、輸血や人工呼吸器の装着、胃や腸に直接栄養を送り込む経管栄養といった診療も可能だ。また、血液や尿の検査、心臓や肺など臓器の超音波検査、X線検査、看取り(死亡診断書の作成)も頼める。

 診療には公的医療保険が適用されるため、通院に比べ治療費が大きく上がることはない。自己負担額は年齢や所得によって変わるが、70歳以上の高齢者(1割負担)で月2回訪問診療を受けた場合は月7千~8千円ほど。高額療養費制度(※)が適用されるため、「一般所得者」以下の区分であれば、訪問回数が増えても月1万8千円を超えることはない。ただし、上限金額を超えた分は一時的に支払わなければならないため、治療によっては数万~数十万円の出費になることもある。その場合は、事前に役所に「限度額適用認定証」を申請し取得しておくと、上限金額までの請求となるため安心だ。

 訪問診療のかかりつけ医を探すときは、地域包括支援センターに相談するか、「在宅療養支援診療所」の認定クリニックに問い合わせるのも手だ。24時間365日往診可能のほか、地域の基幹病院と連携して緊急入院にも対応。また、診療記録を担当ケアマネジャーと共有して適切な介護サービスにもつなげてくれる。

 下山院長は、「在宅診療は密室で行われるため、初めは不安を感じる方も多い」と話す一方で、「体調だけでなく、家計やご家族の状況も含めて、患者さんが自分らしく過ごせる“環境”を作ることもわれわれの使命。自宅でできること、やりたいこと、やりたくないことを率直に医師に相談してほしい」と語る。

◆家族の食事準備や片付けはNG

 一方、食事や入浴、排泄など、日々の生活行動を自力で行えない場合は、介護保険サービスを利用したい。対象は65歳以上の高齢者だが、40~64歳でも16の特定疾病(末期がん、認知症、重度の糖尿病など)に当てはまる場合はサービス利用の申請ができる。

暮らしとモノ班 for promotion
防災対策グッズを備えてますか?Amazon スマイルSALEでお得に準備(9/4(水)まで)
次のページ