※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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 胃が痛い、もたれる、などの症状は日常的によく経験するもの。たいしたことないと放置しがちだが、重大な病気につながる可能性もある。症状が長引いたり生活に支障が出たりする場合には、医療機関の受診も大切だ。

【イラスト】その症状、どこの病気を疑えばいい?

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 胃の不調といって思い当たる症状は、胃の痛み、胸焼け、食欲減退、すぐにおなかがいっぱいになってしまう膨満感などいくつもあり、症状の表現も人それぞれ違う。これらの症状は正確には胃だけでなく、食道と胃をあわせた上腹部の不快な症状を表すものだ。

 市販薬の服用や暴飲暴食をやめるなどの節制をすることで回復する場合も多いが、症状が長期間続き、仕事や睡眠などに支障が出ることも少なくない。また不快な症状が継続すると、大きな病気ではないかと不安になったり、それがストレスとなってさらに悪化したりすることもありうる。

 上腹部の症状は多様で、症状から考えられる疾患も数多い。命に関わる病気が見つかることは多くはないが、中には胃がんや食道がん、悪性リンパ腫、胃潰瘍や十二指腸潰瘍など重大な病気が隠れていることもある。また慢性膵炎や膵臓がん、胆石など、食道や胃以外の病気でも同じような症状が出ることがある。

■まずは問診で重大な病気を鑑別

 診察では、まずこれらの病気を鑑別することが第一だ。愛知医科大学病院消化管内科の春日井邦夫医師は、次のように話す。

「上腹部症状で受診された患者さんにはまず問診をし、症状の原因や何か大きな病気が隠れていないかを調べます。患者さんは内視鏡検査に対する不安も大きいので、最近はいきなり検査をすすめるのではなく、まず問診をおこない、がんなどの大きな病気のサインがなければ、とりあえず服薬治療を始めてしばらく様子を見る、という流れがガイドラインでも推奨されています」

 問診では、年齢や病歴、家族の中に食道がんや胃がんの人がいないか、体重減少や貧血、低栄養がないか、ピロリ菌の有無などを確認しながら、状態を観察していく。問診内容から血液検査や内視鏡検査が必要と思われればおこなうこともある。

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