さらに、劇場版には、煉獄が戦う「2体目の鬼」がオリジナルで追加されていた。この鬼が現れた際、逃げ遅れた客が1人いたが、その乗客を助けぬままに敵に突っ込んでいった伊之助のミスを、煉獄はうまくフォローしている。鬼の攻撃をかわしつつ、伊之助を安全な所に移動させ、さらに男性乗客を軽々と「お姫様抱っこ」のポーズでかかえる煉獄のカッコよさに、観客は目を奪われた。

 炎柱の象徴である白いマントがたなびく様子は、原作よりもはっきりと描写され、観客が煉獄に見とれる場面が、いくつか追加されている。

■劇場版で見せた煉獄の余裕

 煉獄が冒頭で鬼2体を倒した後に、夢を強制的に見せて敵を撹乱する、下弦の壱の鬼・魘夢(えんむ)が登場する。煉獄が、魘夢の攻撃から目覚めたシーンは、名ゼリフとともによく知られている。

<うーん! うたた寝している間に こんな事態になっていようとは!! よもや よもやだ>(煉獄杏寿郎/7巻・第60話「二百人を守る」)

 原作にもこのシーンはあるのだが、原作では素早く日輪刀を構える煉獄に対して、劇場版の煉獄は悠然と歩きながら、このセリフを口にしている。「鬼に乗っ取られた列車」という異常な状況に全く動じない、煉獄の柱らしい余裕が伝わってくる。

 劇場版では、この場面より前に、逃げ惑う乗客たちと“逆の方向”を向き、敵と対峙する煉獄の単独のショットが画面に映し出される。その時の煉獄の表情にぜひ注目してもらいたい。鬼への怒りや憎しみといった、感情のブレを一切感じさせない、「炎柱・煉獄杏寿郎」の姿がここにある。

■煉獄杏寿郎の「目」

 さて、劇場版「無限列車編」で、初めて煉獄杏寿郎を見た人にとっては、煉獄は頼りがいのあるリーダー、長男気質の優しい人物、という印象が強いのではないだろうか。

 それに対して、『鬼滅の刃』を『週刊少年ジャンプ』連載当時から見ている人や、コミックスを見ている人たちの間では、煉獄の「どこを見ているのか、わかりづらい目」が話題になったことがあった。

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「どこを見ているかわからない」表情