50年に及ぶ格闘人生を終え、ようやく手にした「何もしない毎日」に喜んでいたのも束の間、2019年の小脳梗塞に続き、今度はうっ血性心不全の大病を乗り越えてカムバックした天龍源一郎さん。人生の節目の70歳を超え、2021年9月には「日本プロレス殿堂会」で殿堂入りを果たした天龍さんが伝えたいことは? 今回は「殿堂入り」をテーマに、つれづれに明るく飄々と語ってもらいました。
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「日本プロレス殿堂会」の殿堂入りは、正直な気持ちとしては嬉しいが、面映ゆいところもある。プロレスの殿堂にノミネートされただけでも嬉しいのに、しょっぱなに殿堂入りできたことに意義があるんじゃないかな。ファンの中には「なぜ天龍が入っていて、この選手が入っていないんだ!」と思う人もいるはずだ。殿堂会は主催者が勝手に決めているのではなく、本人や亡くなった人の場合はご遺族に殿堂入りの打診を事前にしているんだ。その上で辞退される場合もある。特にご遺族にとってはレスラーである前に父親であったり家族の一員なわけだから、プロレスから離れてそっとしておいてほしいという希望もあるからね。
だからこそ、この殿堂会の趣旨に一番賛同したというか、理解を示しているのが長州力と藤波辰爾というのも興味深いんだ。特に長州は断りそうなもんだけど、自分が殿堂入りを受けることで、後輩たちも受けやすくなるだろうと考えているようだ。セレモニーの時、彼と話したんだが、「殿堂入りのハードルを高くし過ぎると、選考も四角四面になるし、権威的になってしまってもいけないので、もっとフランクに入れるようにした方がいいんじゃないか」って。野球のように明確な数字で資格が決まるわけじゃないからね。懇親会とまではいかないけど、身近なレスラーがどんどん入るようにすれば裾野が広がって、プロレスも殿堂会も世間にもっと広まるんじゃないかなと言っていたよ。さすが、大学出は言うことが違うよ!(笑)