プロレスの殿堂といえば、アメリカのWWEが有名だ。殿堂というと斜(しゃ)に構えてしまうかもしれないが、向こうでは「ファンと選手のコミュニティー」というのが基本的な趣旨だ。「サマースラム」なんかの大きな大会あると、往年のレスラーが前日にサイン会をやって長蛇の列ができたり、周辺のホテルが満室になったりと、経済効果的な影響も大きくて、いろいろな都市から誘致されるくらいだからね。昔からのファンと往年のレスラーの交流の場にもなっているし、日本も昔のファンの掘り起こしができたらいいなと思うよ。
もし、日本で活躍した外国人レスラーの殿堂を作るとしたら、誰を入れるかだって? まずはシャープ兄弟だね。黎明期のころから日本にプロレスを浸透させたという意味で貢献度が高い。俺がアメリカでプロレス修行していた頃、ノースカロライナで一緒だったレスラーが「父が日本で活躍したレスラーだ」と言っていて、「誰だ?」と聞いたら「シャープ兄弟だ」って。彼はシャープ兄弟の弟のマイクの息子、マイク・シャープ・ジュニアで、お父さんたちはすごい親日家だという話も聞いたよ。ずいぶん、日本での印象が強かったみたいだね。
あとはやっぱり、ザ・ファンクス、アンドレ・ザ・ジャイアント、ミル・マスカラス、スタン・ハンセン、ブルーザー・ブロディ、アブドーラ・ザ・ブッチャー。ここまでかな。
新日本プロレスのファンからしたら、ビッグバン・ベイダーやタイガー・ジェット・シンもいるだろうが、俺の場合は全日本プロレスしか知らないから、全日本で強かった外国人レスラーしか浮かばないけど、そこは容赦してくれ。でも全日本と新日本だと、全日本の外国人レスラーの方がポピュラーでファンに浸透しているというイメージの方が強いよね。
新日本は外国人レスラーの人気が無い分、アントニオ猪木さん、坂口征二さん、長州力、藤波辰爾と、外国人レスラー以上に日本人レスラーがバーンっと頑張っていた。全日本にいたときは、どの会場でもファンは外国人レスラーについていることを感じていたけど、新日本は日本人選手にファンがついている。そこも全日本と新日本の大きな違いだ。全日はマスカラスやスタンが来ると会場がいっぱいになるけど、来ないとイマイチだったりしたからね。まぁ、ジャイアント馬場さんが外国人レスラーが好きだったということも大きいだろう。外国人レスラーは葉巻をお土産に持ってくるからね(笑)。