11月12日現在、1ドル=138円と円安は依然続く。航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さんは、やはりこの状況ではアメリカ本土やハワイはハードルが高いと語る。
「シンガポールやタイ、台湾などは物価の水準が上がり、かつてほどの安さは感じられないかもしれませんが、それでも日本の物価と同等か少し安いくらいなので、なんでも極端に高く感じるアメリカなどよりは行きやすいのではないでしょうか」
これらの国・地域は海外からの旅行客数がまだコロナ以前の水準に戻っていないことでお得な面もあるという。
「ホテルも現時点ではまだ安いところがあります。たとえば台湾は10月13日に水際措置が緩和されたばかりで、ホテル代はコロナ前の水準、あるいはそれより安いのでは、というところもあります」
観光ジャーナリストで淑徳大学教授の千葉千枝子さんも円安と物価高、そしてその国の受け入れ態勢を考慮したうえで、タイとマレーシアをいち推しに挙げた。
「タイは政府観光庁がコロナ後の新しいタイの姿も知ってもらおうと大々的に予算を割いてプロモーションしています。マレーシアも入国に関する緩和のタイミングが早く、観光客の受け入れ態勢が整っている。インドネシアあたりもいいのではないでしょうか」
厄介なのが原油高による燃料費の高騰だ。千葉さんは言う。
「たとえばタイにエコノミークラスで行っても、燃油サーチャージだけで片道2万~3万円ほどかかることも。ただ、現地でかかるお金を考えれば、それでも欧米よりお得という考え方もできますね」
前出の鳥海さんは、こう言う。
「原油価格も少し落ち着きつつあり、12月には今よりは少し燃油サーチャージが下がります。さらにアメリカの航空会社では燃油サーチャージ込みでロサンゼルス往復9万円などのセール価格を出しているところもあるので、その差額で物価高を補填するという考え方をすれば、アメリカ本土も選択肢に入れていいのかもしれません」