今季は前半戦に不調の時期もあったが、シーズン途中から調子を上げてきた。9月には6試合連続本塁打を放つなど、2カ月連続の月間MVPを受賞して格の違いを見せつけた。現在も好調をキープし、自身初のホームラン王も射程圏内(※10月18日終了時点で1位に1本差の38本)にとらえている。

 去就に関しては、メジャー挑戦が既定路線だと思われていたが、広島のチーム力低下とともに状況が変化し始めた。数年前までセ・リーグ優勝争いの筆頭であり、16年からリーグ3連覇を果たし、残すは日本一だけだった。しかし19年から2年連続Bクラスとなり状況は激変。今季もBクラスは確定的で、立て直しを図るチームから鈴木がいなくなることに心配の声が上がるようになった。

「リーグ3連覇中は近いうちに日本一になれると誰もが思っていた。鈴木がチームの中心として活躍、日本一を手土産に渡米するのが最高のシナリオだった。数年でチームがここまで変わってしまうとは思わなかった。新たにチームを作り直している時に鈴木の存在は欠かせない。球団が必要な選手に対して高額契約を結ぶ流れになっているのもある」(広島担当記者)

 近年の広島は3連覇時の中心選手をチーム再建の柱として重宝している。19年オフ、国内FA権を持つ会沢翼とは3年総額6億4000万円(以下、金額は推定)プラス出来高で契約。さらに、ポスティングシステムでのメジャー挑戦を表明していた菊池涼介も、年俸3億円プラス出来高の4年契約で広島に残留した。翌20年オフにも田中広輔と現状維持の1億5000万円プラス出来高の2年契約を結んだ。鈴木に関しても3選手同様、全力で慰留すると見られている。

 順調にいけば、来季22年中に国内、23年中に海外FA権を得る。今後の動向に注目が集まるが、今オフは3通りの可能性が考えられる。ポスティングシステムを利用してのメジャー挑戦、広島で選手生活を終えるつもりでの複数年契約、そして海外、国内移籍の両方を視野に入れ単年契約を交わすことだ。

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「早くメジャーに挑戦して欲しいのが本音です」