ハーバード時代、ソリストとして学生オケと共演(廣津留さん提供)
ハーバード時代、ソリストとして学生オケと共演(廣津留さん提供)

 日本人はみんなが笑っているから笑っておこうって愛想よくふるまいがちで、私も最初はそうでした。でもそうすると、「すみれちゃんずっと笑ってるけど大丈夫?」と心配されてしまう。本音の突っ込んだ意見を言った方が信頼されることがわかって、だんだん変われた感じがします。

■「挙手に慣れていない日本人」を先生が手厚くケア

――授業では言葉の壁はありましたか?

 先生の早口は分からないし、予習もめちゃくちゃ苦労しました。でも先生たちがメールや授業内で手厚くケアしてくれたので救われました。先生は様々な国の学生を相手にしているので、日本人が授業中の挙手に慣れていないということも分かっていて、授業の前に、「この質問であなたを当てるから意見を言ってね」と練習させてくれるんですよ。15人程度の少人数授業が必ずあるから、何か問題があったら気づいてもらえます。「学生が落第するのは先生の責任だ」というカルチャーがあり、先生も職を失う可能性があるからか、勉強面でも周りの学生の脱落は聞きませんでした。

――忙しくて「睡眠を犠牲にした」ということですが、どのような生活スタイルだったのでしょうか?

 食堂も図書館も24時間オープン。夜10時に行ってもみんな勉強していて、朝5時に帰ろうとしても、まだほかの人がいる。課題の量も多くて常に4~5本の宿題を抱えながら、複数の課外活動を掛け持ちしてと、まるでテトリスのブロックを次々積んでいくようにスケジュールを埋め、こなしていました。でもハーバードでは誰もが同じ状況だったので苦には思いませんでしたね。平日は寝る時間がなく、しかも金曜や土曜の夜には学生や大学主催の社交パーティーがあります。社交も非常に大事でした。今思えば、将来のリーダー候補同士の人脈作り、という意図が大学側にはあったのかもしれません。隣にいる人がいつ国連の大使や大統領になるかわかりませんから。

――学費がネックで海外大を断念する学生もいるといいます。生活費などのお金事情は?

 奨学金制度が充実しているハーバードは、学費や食費、寮費も込みで、家庭の収入に応じて正規の学費の何%を支払えばOKですよという仕組みでした。私の場合、大分から東京の私立大学に入って一人暮らしをするよりも、ずっと安かったと思います。仲の良い友人の家庭はシングルマザーで兄弟も多く経済的に厳しかったので、全て無料だったそうです。

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