兵庫県でクリニックと在宅医療を運営する長尾和宏医師(撮影/写真部・戸嶋日菜乃)
兵庫県でクリニックと在宅医療を運営する長尾和宏医師(撮影/写真部・戸嶋日菜乃)

長尾:それはファミリードクターとか家庭医といったイメージですね。

尾崎:そうです。まず小さいお子さんは病気の予防が必要ですよね。私は校医もしていますが、学校ではがんやたばこ、アルコール、薬物などに関する教育をして自分のからだを守る術を身につけてもらいます。社会に出たら検診を受けてもらい、高齢になったら在宅を始める。つまり一人の人間が生まれてから死ぬまでを、地域の医師が責任をもって診ていく。その中で高齢者が増えれば必然的に在宅医療も充実していくのではないかと思います。地域医療をそうした仕組みに変えていくことが夢ですね。

長尾:おこがましいですが、私が考えていることと全く一緒なのでびっくりしました。私もボランティアで、夜間高校に行き、たばこや薬物についての講義をしています。若い世代に教育していくことは大事ですよね。町ぐるみでさまざまな世代を支えていくというのが、町医者の仕事だと思っています。“在宅医”ではなく“町医者”が在宅も当たり前のようにやる。先生と同じ気持ちです。

長尾:次は新型コロナウイルス感染症の話をうかがいたいと思います。現在(2021年8月末)、東京都の自宅療養者が、入院待機中も含めると3万6千人。病院は逼迫していますし、今こそ開業医が立ち上がるしかないと思っています。現時点でのお考えをお聞かせください。

尾崎:今年の1月くらいに東京都の自宅療養者が入院待機中も含めると1万8千人になりました。そのときに自宅療養者を見守る体制がないと厳しいなと。そこで都と一緒に開業医と夜間往診ができる在宅医が連携して地域で診ていくシステムをつくりました。また、それまでは開業医がコロナと診断すると、保健所に連絡してそれで終わりだったんですね。ところが保健所からは1週間近く連絡がこないこともある。そこで少なくとも保健所から連絡があるまでは、放置せずに患者さんの状況を確認するようにしてくださいとお願いしました。

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