東京都医師会会長の尾崎治夫医師(撮影/写真部・戸嶋日菜乃)
東京都医師会会長の尾崎治夫医師(撮影/写真部・戸嶋日菜乃)

尾崎:今の若い先生たちは昔と違って、開業したら在宅もやることを当然のこととして受け入れていますよね。時代が変わってきているのを感じます。

長尾:近年は在宅医療を専門におこなっているクリニックが増えていますが、かかりつけ医が提供する医療とのすみわけはどのようにお考えですか?

尾崎:かかりつけ医が在宅でも診ていくのが理想ではありますが、365日24時間となると現実的には難しいですよね。在宅医療専門クリニックと連携しながら、患者さんを24時間見守るという態勢が、東京では向いていると思います。

長尾:在宅での看取りについて、東京都ではどのような取り組みをしていますか?

尾崎:在宅での最期を希望していても、いざ急変すると家族は救急車を呼んでしまい、救急隊員は蘇生の措置をして病院に運ぶので、在宅での最期がかなわなくなります。そこで東京消防庁と連携して、家族が119番しても救急隊員がかかりつけ医と連絡をとり、確認がとれれば蘇生をせずにかかりつけ医に看取りをしてもらうという仕組みをつくっています。そのため本人の意思に反して病院に搬送されるといったケースは減っています。

長尾:東京都の在宅医療と救急医療の連携は日本一進んでいると思います。この仕組みが地方にも普及していくといいですね。

長尾:独居の高齢者や認知症の方などが在宅医療を受ける場合、介護の専門職との連携が必要になります。「多職種連携」という言葉もありますが、そこでの取り組みはありますか?

尾崎:「東京都多職種連携連絡会」といって東京都の医療、介護、福祉の専門職の代表が集まる会を定期的に開いています。その内容を代表が各地区に持ち帰るので、各地区でも連携が進んでいます。

長尾:これからは多死社会が進んでいき、2040年にはピークを迎えると言われています。20年後の東京都の在宅医療について、どのように考えていますか?

尾崎:私が考えているのは、開業医が風邪や腹痛で来院した患者さんだけを診ていくのではなく、地域に住む家族をまるごと見守っていくことです。

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