カップヌードルを生み出した安藤百福さん (日清食品提供)
カップヌードルを生み出した安藤百福さん (日清食品提供)

 カップ麺の元祖にして、今も多くの日本人の胃袋を満たし続けるロングセラー商品「カップヌードル」。今年はその誕生から50年。時代を駆け抜けた数々の個性的なシリーズを振り返りながら、進化を続けてきた味の歴史をひもといてみよう。

【いくつ知ってる?おもな歴代カップヌードルシリーズはこちら】

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 日清食品の「カップヌードル」がこの世に生まれたのは今から50年前の1971年9月18日。58年に誕生した世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」とともに、日清食品創業者・安藤百福の試行錯誤の末に生まれた商品で、その奮闘ぶりは、2018年から放送されたNHK連続テレビ小説「まんぷく」でも描かれていた。

 現在まで二百数十種類のバリエーションを発売し、国内での売上額は年間1千億円、世界での累計販売食数が500億食という、世界中に愛されるシリーズだ。

「カップの形状や材質、そもそも具を入れるのか入れないのか。それらがすべて、先行するものが何もないところから作り上げられた。本当にすごいことだと思います」

 と語るのは、即席麺評論家の大山即席斎さん。

定番の「カップヌードル」 (日清食品提供)
定番の「カップヌードル」 (日清食品提供)

“レギュラー”“ノーマル”などと呼ばれることもあるカップヌードルは、シンプルながら飽きのこない複雑な味わいのスープに、エビ、卵、“謎肉”と呼ばれるサイコロ状のミンチ肉、ネギなどの具が彩りをみせる。

「基本的に発売当初から大幅な変更がされていないところも注目したいポイントです。現在、さまざまな種類のカップ麺が発売されていますが、多くの商品は具やスープを混ぜる際に別添の小袋などを入れたりするものです。一方、カップヌードルシリーズは、どの種類も基本的に追加の小袋などは使用しません。元祖にして非常に完成度の高いものとして誕生したということです」(大山さん)

 そんな画期的な商品も、発売開始即大ヒットというわけにはいかなかった。袋麺が25円ほどの時代に、カップヌードルは1食100円。立って食べることもあるというスタイルにも抵抗がみられた。

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