■吉富愛望アビガイルさん(27)/投資銀行アナリスト
「生きる原動力=好奇心」を満たす
本は、自分には想像もできない価値観を教えてくれます。視野が狭くなり人を傷つけ、エゴを押し付けるコミュニケーションを回避するためのトレーニングとして活用しています。それとともに、私の生きる原動力でもある好奇心を満たしてくれます。
『夜と霧』では、「愛は愛する人間の精神的存在とどれだけ深く関係しているかが重要であり、愛する相手が生存しているかは問題ではない」ということを学びました。私自身が、大事な友人との関係で悩んだときにこの言葉を思い出して、自分のエゴを押し付けない決断ができました。今でもその友人とは友好関係が続いています。
『解析概論』は、「無限」という概念について初めて出合い、数学の美しさに惹かれた本です。高校までの数学の知識で読めます。理数系出身の方はぜひ、お酒でも飲みながらペンを片手に証明を追ってみてください。私はそれを老後の楽しみにしています。
【私の両極本】
愛とはなにか 『夜と霧』ヴィクトール・E・フランクル著/みすず書房
自然原則の美しさ 『解析概論』高木貞治著/岩波書店
『死海のほとり』遠藤周作著/新潮社 『カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書』デイヴィッド・サダヴァ他著/講談社 『シーラという子』トリイ・ヘイデン著/早川書房