プーチン大統領(GettyImages)
プーチン大統領(GettyImages)

 信頼できる記者と情報をシェアすることによってもっと正確で、ニュアンスのある報道もできるとICIJは信じ、古くからのメディアパートナーと新しいメディア組織を誘った。その中に、政府の圧力のせいで独立メディアがなくなっているロシア、ヴェネズエラと香港の記者もいた。他国のメディアとのコラボレーションを活用しながら、自分の国にタブーだと思われている情報へも広げることができた。

 文書の中にはロシアのサンクトペテルブルクの元清掃員、スベトラーナ・クリボノギフの名前もあった。何年にもわたって彼女はロシアのウラジーミル・プーチン大統領と秘密で恋愛関係を持っていた。このことはロシアメディアで報じられている。「パンドラ文書」によると、2003年にクリボノギク氏は400万ドルのモナコのアパートを購入したペーパーカンパニーの所有者であることが判明している。ちょうど2003年には、クリボノギクとプーチンとの間に娘は生まれたとされている。クリボニギフは、ICIJのメディアパートナーからのコメントの要求には応じなかった。

 私が初めてICIJのオフショア金融に関する調査報道に参加したのは2015年だった。当時400人弱の記者と一緒に「パナマ文書」を分析した。

 リークされた大量のデータに基づいた調査報道は、普通の報道と少し違って、まずデータを効率的にスクリーンする方法を採用することが大事。ジグソーパズルみたいに、どうすれば(どの情報を得れば)全対象を観られるのかを考える。それで、ジグソーパズルを解くように時間もいろんな試行錯誤も必要になる。

◆秘密の暴露と公益性

 また、ペーパーカンパニーを持っていても一般人ではあまり面白くない。影響がある政治家や企業の幹部、または犯罪者の方が興味深い。ただし、調査報道はゴシップと違うので、秘密を晒すとなると、公益性が担保されなければならない。

 この5年間でわかったのは、やはりデータが全てではないということ。

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