オンライン会議で打ち合わせるICIJ記者たち。下段左はノーベル賞を受賞したフィリピン人のマリア・レッサ記者。上右から2番目はシッラ・アレッチ氏(提供)
オンライン会議で打ち合わせるICIJ記者たち。下段左はノーベル賞を受賞したフィリピン人のマリア・レッサ記者。上右から2番目はシッラ・アレッチ氏(提供)

 内部文書を持っていても、その情報の文脈を確認しないと記事にはならない。専門家、インサイダーや被害者などとのインタビューや公開記録など、他の情報源も必要だ。

 少しニッチなテーマであるオフショア金融について報道すればするほど知識も深まる。マネーロンダリングや租税回避などのデッドラインを見分けるのが早くなる。会社間のローンの書類を読むと、すぐその条件をみる。顧問契約を見つけると、顧問の目標や関係者の経験などを調べる。

 最後にネタをゲットした時はどのように読者に伝えるのかも前よりもっと気になる。いくら深くて重要な調査報道をしていても読者(一般人)は情報の意味と大事さを分からなければ、報道の意味がない。ICIJに勤めてから学んだのは、複雑な話題をわかりやすく書くことも記者の責任であるということだ。

 ◆シッラ・アレッチ

ジャーナリスト。イタリア・ローマ生まれ。2007年にローマ大学大学院東洋学研究科を修了。東京外国語大学、早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース、コロンビア大学ジャーナリズムスクール(調査報道コース)にも在籍。ブルームバーグニュース、ハフィントン・ポストなどで取材活動に取り組み、現在はICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)の記者とアジアと西欧のパートナー・コーディネーターとして活躍している。

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