エルトン・ジョン(GettyImages)
エルトン・ジョン(GettyImages)

 ペーパーカンパニーや信託を設立することは、簡単で比較的安価であり、多くの場合、合法的だ。ただ、オフショア金融制度とは、エリート層や多国籍企業が課税対象となる資産を低税率地域のペーパーカンパニーに移すことを可能にする制度だ。現地に居住したり、実際に利益を得たりする必要はない。金融サービス業者にお金を払って、ヨット、飛行機、美術品、豪邸、現金、株などの資産を保管する会社を設立することで、保護することができる。また、機密性が高いため、当局や債権者など、さらには世間の目から資産を隠すことができる。

 それでタックスヘイブンの秘密性が不正な資金の流れを不透明にし、贈収賄、マネーロンダリング、脱税、テロ資金、人身売買などの温床になると専門家は指摘している。

 文書によると、ペーパーカンパニーを利用して高級物件を所得した有名人のなかに、チェコ共和国のアンドレイ・バビシュ首相、ヨルダン国王のアブドゥッラー2世・ビン・アル=フセイン、ビートルズのスターやスペイン出身の音楽歌手フリオ・イグレシアスなどもいる。

 イタリア代表チームの監督、ロベルト・マンチーニは2009年から2012年にかけて、英領バージン諸島に拠点を置く会社を通じて飛行機を所有していました。イタリアのレスプレッソ (L’Espresso)誌によると、当時マンチェスター・シティを監督していたマンチーニは2012年にその会社を閉めた。

 ICIJがインタビューした経済学者、ジェームズ・S・ヘンリー氏によると、タックスヘイブンの会社が可能にする匿名性は、スポットライトを浴びて生活する人々にとって魅力的だという。

「特に有名人は、私生活に非常に敏感である場合が多く、それはある程度、正当なことだと思います」(ヘンリー氏)

◆合法的なビジネスの盲点

 ロンドンやロサンゼルスに住んでいる有名人は、タックスヘブンにある金融サービス業者に依頼して、会社を設立・登録することができる。その地域の中には、アンギラやバハマのような文字通り「オフショア」の島もあれば、アメリカのサウスダコタ州やスイスのような内陸部の国もある。

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