ゲーム参加者は番号が振られ、緑ジャージーを着せられている。左からサンウ、主人公のギフン、脱北者のセビョク (Netflixシリーズ「イカゲーム」独占配信中)
ゲーム参加者は番号が振られ、緑ジャージーを着せられている。左からサンウ、主人公のギフン、脱北者のセビョク (Netflixシリーズ「イカゲーム」独占配信中)
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 Netflixで配信中の韓国ドラマ「イカゲーム」が驚異的なヒットを記録している。経済的に困窮した人々が集められ、多額の賞金目指して命がけでゲームに挑むというストーリーだが、なぜここまで世界中の人々を惹きつけるのだろうか?

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 9月にNetflixで「イカゲーム」が配信されて以来、アメリカ、フランス、インドほか世界94カ国で人気ランキング1位を獲得。1億4200万世帯が視聴しており、Netflix最高記録を達成した。

「イカゲーム」の主人公は、ギャンブル狂いで多額の借金を負ったバツイチ中年男性のギフン。ある日、見知らぬ男性にゲームに誘われ、拉致される。気がつくと、ギフン同様に経済的に困窮したワケアリの456人が主催者によって集められており、約45億円もの賞金がかかったゲームに挑戦することになる。

 ゲームは「だるまさんがころんだ」や「ビー玉遊び」など、幼いころに遊んだものばかり。だが、負けるとその場で殺されるという過酷なものだ。

 参加者はギフンのほかに、彼の幼なじみで、韓国一の難関大であるソウル大学首席卒業のサンウ、ブローカーに金を騙し取られた脱北者のセビョク、外国人労働者のアリ、脳腫瘍を患う老人のイルナムなど、事情を抱えた人ばかり。彼らの背景や、このゲームが何のために行われているかといった謎が絡み合いながら物語は進んでいく。韓国ドラマに詳しいライターの小田香さんはこう語る。

「ファン・ドンヒョク監督は、ソウル大卒業後、アメリカの大学で映像を学んだエリートですが、経済的に苦しかった時代がありました。2009年に『イカゲーム』の脚本を書き上げたものの、実現に動き始めたのは19年。映画の予定で書かれた脚本は、Netflixドラマシリーズになったことで、大幅に改稿されました。結果的に、約2時間の映画よりディテールが細かく描けるドラマになってよかったのでは。また、残虐な内容を含むので、地上波やケーブルテレビでは実現できませんでした」

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