小川淳也氏 (c)朝日新聞社
小川淳也氏 (c)朝日新聞社
この記事の写真をすべて見る

 野党第1党の立憲民主党も、新しい“顔”選びに向けて動きが加速している。衆院選で大きく議席を減らした責任を取って、枝野幸男代表が辞任を表明。年内にも代表選を実施する予定だ。現在、立候補に意欲を示しているのは、元総務政務官の小川淳也氏と党役員室長の大串博志氏だ。

【家賃4万7千円のアパートに暮らす「統計王子」はこちら】

 小川氏はドキュメンタリー映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」で知名度が上がり、小選挙区で自民党の平井卓也前デジタル相を破った。大串氏は旧民進党で政調会長を務め、旧希望の党では共同代表選に立候補している。このほか、昨年9月の党代表選で枝野氏に敗れ、政調会長を務める泉健太氏や、元厚生労働相の長妻昭氏、元国土交通相の馬淵澄夫氏を推す声も上がっている。

馬淵澄夫氏 (c)朝日新聞社
馬淵澄夫氏 (c)朝日新聞社

 はたして立憲で“顔”になり得る存在は誰なのか。旧民主党事務局長で、政治アナリストの伊藤惇夫氏が語る。

「2017年の希望の党騒動で民進党が崩壊状態に陥った時に、枝野さんは立憲を立ち上げて野党第1党にまで育てた功労者です。けれども今回の衆院選では、選挙の“顔”としては残念ながらあまり機能できませんでした」

 なぜか。やはり、09年9月から約3年にわたった民主党政権に対し、多くの有権者が失敗のイメージを抱いているからだ。枝野氏は民主党政権で党幹事長や官房長官など要職を務めた中心人物。それが今もマイナス要素として働いた可能性があると、伊藤氏は指摘する。

「民主党政権のトラウマを払拭するには、当時、それほど中心的な存在ではなかった人に思い切って世代交代する。そしてベテランの人たちが、それぞれ出身母体のちがいを乗り越えて新しい代表を支える体制をつくっていくことが重要です」

 伊藤氏が強調するのは、“カミソリ”と呼ばれた後藤田正晴元副総理(故人)の回顧録のタイトルにもなった「情と理」だ。

「後藤田さんは『政治家に必要な資質は義理人情だけじゃダメだ。理屈・理論だけでもダメで、両方のバランスが取れないといけない』と言っていました。いま候補に挙がっている中でこれらの条件に一番当てはまるのは、小川淳也氏でしょう。彼の語り口は、熱量が有権者に十分伝わります。ただ、経験も浅いし、党内でそれほど要職に就いたこともないから、ベテランが足を引っ張ったら持ちません」

次のページ