外野手で過渡期を迎えているのが大島洋平(中日)、丸佳浩(巨人)、西川遥輝(日本ハム)の3人だ。いずれもゴールデングラブ賞の常連だったが、丸は昨年連続受賞が7年でストップしている。大島、丸はセンターを守ることがまだまだ多いが、UZRを見てみると2年連続でマイナスの数字となっており、あらゆる点で衰えが隠せなくなっていることは確かである。
特に大島に関しては広いバンテリンドームを本拠地としていることもあって、守備範囲の広さ、スローイングともにセンターのレギュラーとして出続けるには苦しくなっていることは間違いないだろう。一方で一足先にセンターからレフトにコンバートされて少し息を吹き返した感があるのが西川だ。2019年、2020年と2年連続でセンターとしては平均からかなり低いUZRとなっていたが、レフトでは平均的な数字をマークしている。スローイングの不安から解放されたという点も大きい。丸と大島の2人も、レフトであればまだ守備でも貢献できる可能性は高いだろう。
かつてはショートの名手だった宮本慎也(元ヤクルト)がサードにコンバートされてから4年連続でゴールデングラブ賞を獲得するなど、配置転換によって息を吹き返した例も少なくない。今回紹介した選手は守備だけでなく打撃や走塁にも特長があるだけに、1年でも長く一線でプレーするためには、どこかのタイミングで“前向きな”コンバートを検討する時期も出てくるはずだ。彼ら自身とチームが今後どのような判断を下すのかに注目したい。(文・西尾典文)
●西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。