野手の場合、年齢を重ねるとまず衰えが出てくるのが守備だと言われている。内野なら二遊間を守る選手がサードやファーストに、外野であればセンターやライトを守る選手がレフトにコンバートとなるケースは多く、年齢的に過渡期を迎えている選手も少なくない。
【写真】「平成で最もカッコいいバッティングフォーム」は巨人のこの選手!
今回はそんなベテランに差し掛かっている名手と呼ばれる選手たちの守備にスポットライトを当ててみたいと思う。※以下、UZRのデータについては、デルタ社が発表している「1.02 ESSENCE of BAEBALL」のものを参照した。
セカンドの名手として真っ先に名前が挙がるのが菊池涼介(広島)だろう。プロ入り2年目の2013年にレギュラーに定着すると、翌2014年には二塁手としてはプロ野球歴代最多となる535補殺という記録を打ち立て、昨年まで8年連続でゴールデングラブ賞に輝いている。昨年も二塁手としては史上初となるシーズン失策0もマークするなど、その守備力はまだまだ健在だが、その一方で指標的には気になる点が出てきていることも確かだ。
前述していたようにピーク時はシーズン500を超えていた補殺数は年々減少し、今年はレギュラー獲得後では試合数が少なかった昨年を除いて最低となる345まで低下している。また、セイバーメトリクスで守備を評価する時の指標であるUZRも年々数字を落としており、今年は+0.2とほぼ平均的な選手という評価となっている。一瞬の動きの速さや球際の強さは健在で、その守備力はチームにとってまだまだ欠かせないものであることは間違いないが、そろそろ後釜を考える時期に来ていると言えそうだ。
セ・リーグの内野手でもう一人気になるのがショートの名手である坂本勇人(巨人)だが、セイバーメトリクスの指標的には菊池とは対照的に今のところ目立った衰えは見られない。UZRを見てみると2019年には一度マイナスまで落ち込んだものの、昨年は+9.4とV字回復を見せ、今年も+5.0とセ・リーグでは京田陽太(中日)の+5.3に次ぐ高い数値を叩き出している。以前はシーズンで二桁の失策数を記録していたが、昨年と今年はわずかに失策4と堅実さという点でも向上しており、2年連続でショートとしてリーグ最高の守備率をマークした。菊池より1学年上で来年には34歳となるが、大きな怪我などがなければまだしばらくは安心してショートを任せることができるだろう。