さらに、この層は、テレビ番組の間のCMも長く感じます。映画を2時間見るのも辛く感じる傾向があります。インターネット上には膨大な量の情報があるため、ひとつひとつのコンテンツをよく見るのでなく、何かをしながら、流し見るような感覚で短い動画を視聴します。プラットフォームが「オススメ」してくれるので、自ら調べたり考えたりするのではなく、受動的に、怠惰にコンテンツを視聴します。従来、インターネットで「ググる」行為は能動的でした。Amazonや楽天で欲しい商品を「検索」したり、YouTubeでも見たい動画を「検索」したりしていました。この検索する能動性すら「オススメ」が奪い、ひたすら受動的にコンテンツを受け取るフォームになっているのです。情報の送り手は、いかにキャッチーに、短い時間で、情報量が多すぎないコンテンツを作るか、という工夫が求められます。

 90年代からのインターネットやPC、携帯やスマホの普及で、皆さんも自覚したであろう変化が、「漢字を思い出せない」です。読み方や、なんとなくのフォルムは覚えているけれど、いざ手書きで書こうとすると細かい部分が思い出せない漢字が増えました。大人になると、手で漢字を書く機会が減ったことが原因のひとつだと思います。

 また、動画の普及により、如実に感じるのが、「読解力の低下」です。インターネットでは「3行にまとめろ」という風潮があるため、文字情報は短い文章でまとめられることが多いです。長い文章を読むことも苦手になりますが、動画の普及によって「手軽に」「短い時間で」「簡単に」理解できるコンテンツ、つまり「わかりやすさ」(もしくは分かった気になれる)を重視したコンテンツが増えました。このため、行間を読むような読解力も低下した人が増えたように思います。

 漫画や映画やアニメでも、ストーリーや伏線は作品の中でわかりやすく明らかにすることや説明することが求められ、従来のような含みをもたせた展開や、それぞれの心の中で解釈するような演出には批判が起こります。ゲームでも、攻略本がなくてもわかりやすい展開でクリアできるものが増えました。短絡的なコンテンツに慣れすぎると、長い小説を読んだり長い映画を見ることが難しくなります。インターネットコンテンツを視聴する時間が多い場合、時々は、小説を読んだり映画を鑑賞したり、演劇を見るなどして、独自の解釈や考察をするようなトレーニングをすべきかもしれません。

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