精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳氏。大船榎本クリニック精神保健福祉部長。大学卒業後、アジア最大規模といわれる依存症施設である榎本クリニックにソーシャルワーカーとして、約20年に渡りアルコール依存症を中心にギャンブル・薬物・摂食障害・性犯罪・児童虐待・DV・クレプトマニアなど様々なアディクション問題に携わる。2020年4月から現職。(写真=本人提供)
精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳氏。大船榎本クリニック精神保健福祉部長。大学卒業後、アジア最大規模といわれる依存症施設である榎本クリニックにソーシャルワーカーとして、約20年に渡りアルコール依存症を中心にギャンブル・薬物・摂食障害・性犯罪・児童虐待・DV・クレプトマニアなど様々なアディクション問題に携わる。2020年4月から現職。(写真=本人提供)

 クリニックに来た小児性加害者のうち、仕事をしている人にしぼるとその3割以上が、過去に教師や保育士、塾講師、スポーツインストラクターなど、子どもとかかわる職業に就いていた。2019年度にわいせつ行為などで懲戒処分や訓告を受けた公立学校の教員は273人で、過去2番目の多さ。その4割超が児童生徒が被害者だった。

「10代前半ごろに自分の性的嗜好に自慰行為を通して気づき、それを動機に子どもとかかわる職業を目指した加害者も少なくありません。まじめにがんばっている先生方への偏見につながることはあってはなりませんが、こうした事実があることはもっと知られていいと思います」(斉藤氏)

 文科省は「(新法の)基本指針の内容は検討中」とするが、こうした状況をどうとらえているのか。

「性加害行為をした教員が再び教壇に立つことはあってはならないと考えます。ただ、教員免許の交付は自治事務(地方公共団体の責任で処理する事務)ですので、文科省から『免許交付は禁止』などと言うことはできません。各教委の判断になります」(担当者)

 加害者は行為を正当化する一方、被害を受けた子どもは大きなトラウマ(心的外傷)を負う。被害の記憶が大人になってからよみがえり、精神疾患に罹患(りかん)する人もいる。

「被害者側に立った法でなければ意味がない」(斉藤氏)のは当然の考えだろう。(AERAdot.編集部・國府田英之)

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