職業安定法違反の疑いで12月5日、愛知県警に逮捕された佐藤義徳容疑者(中央)
職業安定法違反の疑いで12月5日、愛知県警に逮捕された佐藤義徳容疑者(中央)
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 コロナ禍で特需となっている風俗店が暴力団の資金源になっているという。愛知県警は12月5日、風俗店で働く女性を勧誘した職業安定法違反(有害業務の募集)の容疑で、風俗店グループ「ブルーグループ」の実質的経営者である佐藤義徳容疑者(64)ら3人を逮捕した。

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 佐藤容疑者は愛媛県松山市で実質的に経営している風俗店で、店のスタッフと共謀し、2020年11月、12月にスカウトから紹介を受けた18歳と19歳の女性2人に対し、店で働くよう勧誘したという。佐藤容疑者は、愛知県や四国などで広く風俗店などを経営。

「名古屋の風俗王」として知られ、店名に「ブルー」という名前がつくことが多いことで「ブルーグループ」と呼ばれていた。六代目山口組の司忍組長の出身母体「弘道会」との関係は有名で愛知県警作成の<弘道会壊滅戦略>というチャート図には<佐藤義徳グループ>と紹介され、六代目山口組幹部と<韓国旅行に行く><弘道会の資金源と思われる>と記されている。

 佐藤容疑者は六代目山口組の最高幹部の詐欺容疑の共犯として2011年に逮捕された。また2014年、佐藤容疑者は愛知県警の警察官をそそのかし情報を漏洩させた地方公務員法違反などで実刑判決を受けている。

 その時の名古屋地裁の公判で佐藤容疑者は、名古屋市内に建築を予定していた家について「六代目山口組(司組長の)家じゃないか」と疑われていたことを認めていた。

 また愛知県警の警察官の自宅などを探り、「ビビらせろ」などと部下に指示していたことも、立証されている。

「弘道会の有力な資金源である佐藤容疑者の逮捕は、暴力団壊滅の大きなポイントになる。佐藤容疑者の前に松山市の風俗店のスタッフが先に逮捕されていた。そこからの内偵捜査で佐藤容疑者の関与がわかった。今、風俗店はコロナの影響もあって儲かるそうだ。暴力団も警察の監視強化で、苦しい中、風俗店は有力な資金源になっているとされる。事実、佐藤容疑者の松山市の関係先をガサしたところ、億単位の現金が発見された。それも1億、2億円じゃない金額だ。これから、佐藤容疑者とつながりが深い弘道会に捜査を拡大していけるかだ」(捜査関係者)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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