
佐藤容疑者と同じく、東海地方で風俗店を経営しているグループのオーナーはこう話す。
「コロナ禍で当初は、まったくお客さんがいませんでした。しかし、次第にコロナが当たり前のようになって、お客さんが増え始めた。その理由は接客にあたる女性にありますね。コロナ禍で仕事を失った若い女性が風俗業界に転職してくるのです。コロナ前なら、キャバクラ、ラウンジなど水商売もあったが、すっかりダメになってしまった。働ける選択肢が大幅に減ってしまったため、容姿端麗な若い女性が増えているので風俗店のレベルが高くなっている。だから、リピーターも増えているので好況なのです。名古屋のような大都市や地方でも同じような傾向があります。これまで名古屋なら車で2、3時間のところに住む女性を出迎えに行き、寮に住まわせて働いてもらうということもあった。それぐらいしないと、女性が集まらなかった。それが今は募集したらすぐ集まります」
だが、その一方で兵庫県尼崎市にある遊郭「かんなみ新地」は兵庫県警の規制強化からか11月末に一斉に閉店して70年余りの歴史に幕を閉じた。山口組傘下の元組長だった作家の竹垣悟さんはこう語る。
「愛知県警が佐藤容疑者を立件する、兵庫県警がかんなみ新地を閉鎖に追い込んだのには理由がある。それだけ風俗店が暴力団と密接であり、大きな資金源という裏返しですね。昔から風俗店はさまざまなトラブルがあり、早く解決するなら少々のカネがかかろうが警察より暴力団を使うという業界でした。佐藤容疑者が捕まっても、かんなみ新地がなくなっても、また新しい勢力が出てくるのが風俗業界です。そのバックにいるのが、暴力団ですわ。暴力団から見ても、風俗業界は安定した稼ぎになる業界ですから。持ちつ持たれつというところでしょう」
(AERAdot.編集部 今西憲之)