今、タイのBLドラマにハマる人が急増している。SNSの反響も大きく、ドラマの影響でタイ語学習を始める人までいるという。タイ関連事業を手掛けるテレビ朝日の担当者も、そもそもは自身がハマったことがきっかけだったとか。AERA 2021年12月20日号で、その魅力に迫った。
【写真特集】美しきタイ沼にどっぷり…タイBLドラマの作品を紹介(全10枚)
>>前編:「主演俳優の美しさは「歩くルーブル美術館」? タイBLドラマが人気沸騰 タイ語教室受講者も急増」より続く
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テレビ朝日は昨年11月に、タイのGMMTV社と業務提携を結び、両社でタイ流コンテンツの事業展開を進める。きっかけを作ったのは、「テレビが大好きで世界中のドラマを見ている」と話す、タイ関連の事業を担当するテレビ朝日ビジネス統括部の水高愛さんだ。
タイドラマにハマったきっかけは二つあった。一つがタイ人の人気俳優Gunの変化だ。04年にたまたま子役時代の彼を見ていた。12年後に見た役者としての成長ぶりに驚き興味が湧いた。もう一つがドラマのストーリー展開だ。16年にタイBLドラマで高い人気を誇る「SOTUS」を見ていたら、突然配信が止まった。しばらくして再開に気づくと……。
「青春学園ドラマだと思って見ていたのですが、BLドラマであることに気づいたんです。『これは何なんだ!?』と、タイドラマをもっと知りたくなりました」
これらのドラマを作ったのが同じGMMTV社。多くのヒット作を手掛け、人気俳優を擁する。水高さんが「ビジネスとして考えてもいいのでは?」と思ったのは、18年ごろ。
「『本腰を入れようかな』と思った時に『2gether』という大ヒット作が出て、これは急がないと他社に先を越されると、会社をせっつきました」
実はテレビ朝日では15年に民放では唯一、バンコクにビジネスの事務所を開設していたが、目的は自社コンテンツを「売る」こと。タイのコンテンツを「買う」ことではなかった。中井幹子国際ビジネス開発部長は言う。
「水高のパワーに押されて進めたら“大きなもの”に当たっちゃったという感じです。国内の配信や放映だけでなく、イベントやグッズ制作など、またたく間にビジネスが広がりました」