医療経済ジャーナリストの室井一辰さんは「後発薬は本来、大規模な事業展開で稼ぐものだが、日本ではメーカーが弱小なまま放置され、乱立が温存された状態」という。これが製造工程の人手削減など、無理な生産体制につながったとみている。
「1錠が万円単位になる先発薬もあり、高すぎる先発薬、安すぎる後発薬という価格のあり方が問題」
と千葉県保険医協会の吉川さんは指摘する。
また、成瀬さんによると、市場に出回っている後発薬を抜き打ちチェックし、当局は問題がないとしてきた。一方、製造工程については、当局がいつ検査するのか事前に知らせる通告検査で「甘かった」(成瀬さん)。
一連の不祥事の背景には、急速な後発薬への切り替え政策と、当局のチェック体制の問題もあったとみられている。(本誌・浅井秀樹)
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※週刊朝日 2021年12月31日号より抜粋
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