薬不足について心配な方は、まずはかかりつけ医などに相談しよう
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 薬の品薄状態が続いているため、医師が患者に違うメーカーなどの薬を提案する現場も出始めている。しかし、代替薬にすると患者の負担が増える場合もあり、薬を断る患者もいる。

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 大阪市にある笹川皮膚科。飲み薬と塗り薬の両方が必要な患者には「負担が増えるなら、飲み薬はいらない、塗り薬だけでいいという人もいる」と笹川征雄院長は話す。

 笹川皮膚科では、抗ヒスタミン(抗アレルギー)薬として、大人用6種類、小児用4種類を使う。大人、小児用とも1種類が欠品。大人用は代替薬で、小児用は残り3種類でやり繰りし、「(薬の提供が)不安定な状況にある」(笹川さん)。

 笹川皮膚科には、診察や事務のほか、経営面などに影響が出ている。薬の確保のため卸会社に頻繁に連絡をしなくてはならず、手間や時間がかかる。欠品する薬を代替薬にするには、患者に切り替えていいかを尋ね、代替薬の効果や副作用のほか、負担が増えれば、その説明も必要になる。

「説明のため診断時間が少なくなる。(代替薬で)治療の一貫性が損なわれるのは良くない」(同)

 受付業務では、新しい薬のパソコン入力作業が必要で、支払いの際も患者に説明しなければならない。診療所には場所の余裕がなく、「新たな薬が届くと場所の確保が必要で困っている」(同)。

 大阪府守口市にある、アレルギー科とリウマチ科を掲げる北原医院も薬不足で「非常に困っている。この夏ごろから、てんやわんや」(井上美佐院長)。代替薬が同じ外形ならいいが、顆粒が錠剤になったり、薬の色が違ったりすることもある。

「高齢者は薬を色、形で覚えている。急に変更すると飲み忘れたり、間違えたりする。いくら説明しても混乱することがある」(井上さん)

 北原医院でも、患者への説明に追われている。事務処理の手間も増え、「事務方から、どうにかならないのかと言われている」(同)。

 同じ薬を継続し確保するのが難しくなり、代替薬を短期間に何度も変更することもあるという。3、4カ月に3、4回変更することもあり、薬の確保や患者への説明が大変と井上さんは話す。

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