どんな薬が、どれくらい足りないのか。日本製薬団体連合会の9~10月の調査によると、3千品目以上が不足。加盟する製薬会社にアンケートを実施し、218社が1万5444品目について回答した。「欠品・出荷停止」と、新規の注文に応じられない「出荷調整」の合計が全体の20.4%に達した。不足する3143品目のうち、先発薬が204品目(割合4.4%)に対し、後発薬は2890品目(同29.4%)と影響が大きい。

 後発薬(ジェネリック)は、先発薬(新薬)の特許が切れた後、同じ有効成分を同一量使用し製造したもの。厚生労働省によれば、先発薬と同一の効能・効果がある。価格が半値や3分の1程度と先発薬より安く、その後の薬価改定でさらに下がる。

 医療関係者団体の千葉県保険医協会と大阪府保険医協会も11月、薬不足のアンケートを実施した。「納入がなくなった」「薬局に在庫がないといわれた」という回答を合わせると、千葉県と大阪府の協会でそれぞれ全体の65.7%、79.6%に達した。該当した薬はいずれも上位から順に、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、アレルギー、高血圧症、消化器系などを対象にしたもの。

(週刊朝日2021年12月31日号より)
(週刊朝日2021年12月31日号より)

 両協会のアンケート結果からも、冒頭で紹介したような医療現場の混乱ぶりが浮かび上がる。代替薬への変更は患者を不安にさせるうえ、症状が悪化したり効果が低下したりするなど、健康被害の懸念も出ている。

「患者さんが非常に困っている。長く医者をしていて、こんなことはなかった」

 と全国保険医団体連合会の高本英司副会長は薬不足を懸念する。

 なぜ薬が不足しているのか。一部の後発薬メーカーの不祥事が発端だ。製造工程がずさんだった。これを受け、当局のチェックで他社にも行政処分が広がり、製薬会社の自主確認で自主回収が相次いだ。一部の後発薬は欠品が出るようになり、代替薬を確保する動きが広がり、玉突き的に他の後発薬や先発薬にも影響が波及した。

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