■はったり
「張ったり、張ったり」と胴元がかけた声が由来
博打で胴元が「張ったり、張ったり」と、威勢よく賭けを促した言葉が由来とされています。また、「張る」には「なぐる」の意味があることから、脅しやゆすりのことを表すようになったとする説もあります。ほかにも、「張る」にふくらませる、おおげさなどの意味があり、大きく見せる、強く見せるなどの意味になったともいわれています。
■しかと
そっぽを向いた鹿が無視しているよう?
花札で「しかのとお」と呼ばれる、鹿が描かれた10月の札に由来します。その鹿が、そっぽを向いているように見えることから、「しかのとお」を略した「しかと」で「無視すること」の意味になりました。かつては、「しかとう」と略されたこともあったといいます。
■ぐれる
ハマグリの「グリ」が「ぐれ」に変化した
ハマグリの貝殻を使った遊びに由来する言葉です。ハマグリの貝殻は、もともと対になっている貝どうしでないとピッタリ合わないことから、切り離した多くの貝殻の中から正しい組み合わせを探す「貝合わせ」が古くから行われています。その中で、間違った組み合わせのことを、ハマグリの文字を入れ替えて「ぐりはま」といい、物事が食い違うことの意味になりました。やがて「ぐりはま」が「ぐれはま」に変化し、正しい道から外れることを「ぐれる」というようになったのです。
■布石(ふせき)
囲碁で序盤に打つ手のこと
「布」には、「敷く」「配置する」の意味があります。そして、「石」はここでは碁石のことです。「布石」の本来の意味は、囲碁で序盤に対局全体を見通して打つ手のことです。そこから、将来のためにあらかじめ整えておく手はずの意味になりました。
監修/久保裕之(立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所)
文/美和企画
※『みんなの漢字』2018年3月号から