競馬はG1しか見ない、あるいは人気ゲームのウマ娘から入ったという方にはなじみがない名前かもしれない。だが母にフランスでG3を2勝したシルヴァースカヤ(その父シルヴァーホーク=グラスワンダーの父でもある)、半兄に豪G1馬セヴェルがいる血統のシルバーステートは現役時代に通算5戦4勝ながら故障に泣かされて重賞に出ることさえなかったものの、勝ったレースはいずれも楽勝で底を見せないままだった。

 その潜在能力と血統を買われ、日本競馬の本流とも言える社台系ではない優駿スタリオンステーションでの種牡馬入りながら注目度は高く、20年は165頭に種付け。今年デビューした初年度産駒からG3ファンタジーステークスを勝ったウォーターナビレラが出るなど上々のスタートを切った。血統的には距離が伸びたほうがよさそうなタイプなので今後さらにブレークする可能性も十分にある。21年は150万だった種付料が22年は一気に4倍増の600万円に跳ね上がったのも納得だろう。

 種牡馬として世代をつなぐのは容易なことではなく、活躍馬を多く出した種牡馬の系統が孫の代まで伸びることなく途切れるのも珍しくない。奇しくも現在の日本の生産界はディープインパクトをはじめ、キングカメハメハやハーツクライといった名種牡馬たちがここ数年で相次いで舞台を降りた。ロードカナロアやエピファネイアが次代のリーディングサイアー候補に近いところにいるものの盤石には遠く、ディープインパクト産駒が割り込む余地は大いにある。果たして父と並ぶ、あるいは超える名種牡馬となるのは誰なのだろうか。(文・杉山貴宏)

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