ディープインパクト産駒のキズナ
ディープインパクト産駒のキズナ
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 現役時代は無敗の三冠馬として、引退後は名種牡馬として競馬界に多大な影響を与えたディープインパクトもいよいよ来年デビューの2歳馬がラストクロップ。そこで気になるのが、偉大な父の後継者となるのはどの産駒なのか。今回はそこに注目してみた。

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 数々の活躍馬を送り出してきた種牡馬ディープインパクトの特長は3歳クラシック、中でもダービーで無類の強さを誇ったことと、配合牝馬の質が高かったこともあって勝ち上がり率が高かったこと。その一方で、特に牡馬は古馬になってから伸び悩む印象があったことだろう。

 とはいえ、クラシックと古馬G1の両方を制した馬がいなかったわけではない。フィエールマンとワールドプレミアはともに菊花賞と天皇賞(春)を勝ち、アルアインは皐月賞と大阪杯を制した。クラシック勝ち馬ではないが、3歳で安田記念を勝ったリアルインパクトは7歳で豪G1ジョージライダーステークスを制している。

 恐らく「ディープ産駒の成長性」に疑問符が付く印象はキズナ、マカヒキ、ワグネリアンらダービーを制した産駒のその後が期待以上のものではなかった影響ではないだろうか。だがその負の連鎖は、父と同じく無敗の三冠馬となったコントレイルが引退レースだった4歳時のジャパンカップを勝ったことで払しょくされた。

 さらにコントレイルの出現は、種牡馬としては三振か大ホームランかのタイプだったライバルのステイゴールドに比べてG1を3勝以上する大物牡馬がいなかった父ディープインパクトにとっても大いに留飲を下げるものだった。

 閑話休題。話を後継種牡馬に戻すと、現時点で種牡馬として最も成功しているディープインパクト産駒はキズナだろう。現役時代はダービーを制し、3歳で挑戦した仏G1凱旋門賞で4着。4歳以降はG2だった大阪杯こそ勝ったもののG1の勲章を増やすことはできなかった。

 だが種牡馬としては3世代ですでに重賞を通算15勝。21年のエリザベス女王杯でアカイイトがG1初制覇を果たしたほか、間近に迫った有馬記念を控えるディープボンドは天皇賞(春)2着に仏G2フォワ賞制覇などの活躍を見せ、リーディングサイアーランキングでは4位(12月23日時点、以下同)につけている。生産界の評価も高く、2020年の種付け数は242頭で国内最多。21年の種付け料は1000万円まで上がっている。現在のところは父に似てアベレージ型で馬場や距離適性の幅が広いのが特徴。後はG1を勝つような大物牡馬の出現を待つだけか。

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ディープ産駒の“隠し玉”は…