1本目の漫才は、長谷川が後輩芸人と合コンに行く練習をするという設定である。50歳のいい歳したおじさんが合コンではしゃぐという設定自体におかしさがあり、その中での女性たちとのやり取りが描かれる。
長谷川は「底抜けにバカなおじさん」という強烈なキャラクターを持っていて、「バカ」の部分と「おじさん」の部分のそれぞれで笑いを生み出すことができる。この2つの要素を巧みに使い分け、ときには組み合わせることで効果的に笑いどころを作っていた。
錦鯉の漫才の唯一の弱点は、スピード感に欠けることだ。2人とも早口で話すタイプではないので、スピーディーにテンポのいい掛け合いをして観客を巻き込むのは難しい。
だが、ここで彼らの技が光った。ネタの後半で、長谷川は渡辺がツッコむのを無視しながらどんどんボケを連発していった。2人の言葉が重なりながら話が進んでいくので、早口ではないのに疾走感のあるやり取りに見える。ここで彼らはうねるような爆笑を起こし、オチにあたる箇所では客席から拍手まで起こっていた。