大宮:膳場さん、成績優秀。学問、大好きじゃないですか。
膳場:なにを隠そう、社会人になってからも東大で聴講生してました。
大宮:うそー!
膳場:NHK時代、職場の渋谷から駒場(キャンパス)が近かったんで。
大宮:何がセンサーに引っかかったんですか?
膳場:え、ギリシャ神話史とか。
大宮:やっぱそっち系なんですね。
膳場:仕事と全然違う分野に触れられるのも良かったみたい。セイレーンの話を聴講して幸せな気分になったりね。
大宮:眠くならなかったですか?
膳場:なんでしょうね。新しいことを知る楽しみなんでしょうね。
大宮:でも、中国語でもロシア語でもいいわけで、なんでヘブライ語?
膳場:私、王道よりもちょっとマイナーなものにひかれる傾向があるみたい。大学でも文・とか医学部健康科学・看護学科とかね。東大のような「ザ・中枢」には、国家を担っていこうって学生や前人未到の研究成果を目指す学生が当たり前にいたけれど、私にはそれがまぶしすぎたのね。
大宮:横目に見てるのが好きとか?
膳場:そう。王道を突き進む同級生たちを、すごいなと思いながら、周縁にいるのが心地よくて。
大宮:客観的に見ているんですね。
膳場:そうそう。一歩身を引いて。でも心の中では、「王道もいいけど、周縁にも侮れない価値があるよ」って思ってた。それは今も変わっていないかな。
※AERA 2022年10月31日号