とりあえず「子供」「貧困」「病気」を盾にすれば、「自分の主張に世間は耳を貸す。もしくは主張が通る」と思い込んでいる人、多過ぎます。どうしても子供の夢を打ち砕きたくないのなら、有料配信を視聴できる環境を作るとか、友達に頼むとか、会場で生観戦できるようやりくりするとか、テレビを逆恨みする前にやってみることはたくさんあるはず。それでもダメならば、「諦める」ということを子供に教えるのも大人の務めです。本当に夢を叶える子というのは、周囲がどんなに止めてもその道に進むぐらいの情熱を持っています。逆にそんなことで潰える夢なら、その程度のものなのです。

「ベストテン」や「全員集合」や「ひょうきん族」も終わりました。「プロ野球中継」も地上波ではめっきり減りました。それでもアイドルや芸人や野球選手になる人はいます。とりあえず、何でもかんでも子供を引き合いに出すような親では、ろくな子供が育ちませんよ。

ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する

週刊朝日  2022年10月28日号

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