計算を終えたD社労士は次のことを指摘した。
「Aさんの月給を時給換算すると1000円になります。これは東京都の地域別最低賃金(令和4年10月1日より1072円)より低い額なので、最低賃金額以上の賃上げが必要です」
D社労士の指摘を受けたC所長は、意外そうな顔をした。
「A君の賃金は、ウチの本社である北海道の最低賃金(令和4年10月2日より920円)と比較するのではないですか?」
「本社の所在地ではなく、Aさんの勤務地である東京都の最低賃金と比較します」
「そうですか。するとA君の給料は10月分から最低でも1072円×160時間=17万1520円以上にしなければいけませんね」
「それだけではありません。Aさんにはさかのぼってこれまでの最低賃金との差額分も支払う必要があります」