埼玉県の看護師の女性(44)は、長男(5)が年少になった春に復職し、幼稚園に預け始めた。だが、半数近くの園児が定時で降園するため、長男は毎朝、延長保育に行きたくないとぐずる。運動会の振り替え休日は平日にあり、提供されるおやつが市販のスナック菓子であることもひっかかるという。女性は言う。
「総合的にみれば、園庭もあるし、就学準備もしてくれる幼稚園でよかったけれど、完璧ということはないですね」
子育てをめぐる問題を追うジャーナリストの中野円佳さんはこう話す。
「共働きにも、幼稚園という選択肢が広がってきた。ただ、勘違いされやすいのは、幼稚園は教育面が充実し、保育園は預かっているだけか、というとそうとは限らない。習い事を詰めこむよりも、自由にのびのび過ごすことこそが豊かな子ども時代という考え方もできる。個別の園による方針の違いも大きく、親がカテゴリーに惑わされないことが大切だと思います」
全国的に待機児童が減少しつつあるいま、幼稚園も含めて子どもに合った質の良い預け先を選ぶ時代が始まっている。(編集部・古田真梨子)
※AERA 2022年10月10-17日合併号より抜粋