日本総研が今年3月に実施した「保育の質に関する保育者向け・保護者向けアンケート」によると、施設にもっと増やしてほしいと思うことは、「体を動かすこと」が31.2%と最も多かった。園庭を備えていることが多い幼稚園は魅力的だ。

 東京都豊島区の並木幼稚園。広々とした園庭には砂場や滑り台、鉄棒などがそろう。9月のある日、園児がはだしで駆けまわっていた。

 同園の延長保育は最大午後6時まで。幼稚園といえば、長期の夏休みと冬休みがある場合が多いが、同園では、夏期保育や冬期保育も必要に応じて実施しているという。並木岳彦主事は言う。

「お仕事を持つ保護者の方からの問い合わせは常時あります。ニーズに対して、機動力のある対応をしたい」

 現時点で、幼稚園に通わせている働く母親の割合を示す公的なデータはないものの、前出の広告会社の女性はこう話す。

「働くから何かをあきらめなければいけない時代ではない。自分のキャリアはもちろん、子どもの教育や習い事もきちんとやろうと欲張りに考えている人は周囲にたくさんいます」

■メリットだけではない

 19年10月、「幼児教育・保育の無償化」が導入されたことも、この流れを後押ししているとみられる。無償化は0~2歳児は住民税非課税世帯のみが対象だが、3歳以降は世帯収入に関係なく全世帯が無償に。認可外保育施設に預けている場合は、入園後に自治体から給付金が出るほか、幼稚園でも就労認定を受ければ、延長保育や預かり保育料の補助が出るようになった。

 横浜市の会社員、津田奈々子さん(34)は、預かり保育が無償化されると聞いて、「それならカリキュラムが充実していて習い事もできる幼稚園を選ぼう」と長男(5)を保育園から転園させた。当初は環境の変化に戸惑う様子もあったものの、年長になったいまはすっかり慣れたという。現在、次男(3)は認可保育園のため朝夕の送迎はとても慌ただしいが、来春には次男も転園予定だ。平日の延長保育は午後6時まで。保育園に比べるとお迎え時間は早いが、

「仕事はフルリモート。我が家でも成り立つ。ワーママを応援してくれている雰囲気もあってありがたいです」(津田さん)

 とはいえ、働く親たちにとって、幼稚園はいいことずくめ、ということでもない。

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