巨人戦の九回裏2死一、二塁、ヤクルトの村上宗隆は55号となる本塁打を放つ/9月13日、神宮
巨人戦の九回裏2死一、二塁、ヤクルトの村上宗隆は55号となる本塁打を放つ/9月13日、神宮
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「村神様」とも呼ばれるヤクルト村上宗隆選手の本塁打数が注目されている。これまでのシーズン最多本塁打記録は60本。快挙へのカギは「我慢」だ。AERA 2022年10月3日号の記事を紹介する。

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 プロ野球ファンのみならず、「時の人」として社会的注目を集めているのが、9月25日にセ・リーグ連覇を決めたヤクルトの村上宗隆(22)だ。

 13日の巨人戦(神宮)で今季55号。1964年に王貞治氏(当時巨人、現ソフトバンク球団会長)が記録した日本選手のシーズン最多本塁打に並び、歴代2位タイとなった。シーズン128試合目で55号は、143試合に換算すれば61発ペース。2013年に60本を放ったウラディミール・バレンティン(当時ヤクルト)を超える。

 ただ、その後は9試合連続でアーチなし(25日時点)。22日の中日戦(神宮)では高卒2年目右腕・高橋宏斗(20)に2三振を喫するなど完璧に抑え込まれた。相手のマークが厳しくなっているが、村上にも力みがあるように見られる。

「重圧は当然感じていると思います。打撃を見ても少し硬さを感じますし、ボール球に手を出している。ストライクゾーンにくるまで我慢できるかがポイントになると思います。修正能力が高い選手なので、本塁打を量産する可能性が十分にある。60本塁打超えは達成可能な数字でしょう」(スポーツ紙デスク)

 今季は5月終了時点で51試合出場、打率2割7分1厘、15本塁打、43打点。この時点で巨人・岡本和真(26)と本塁打で同数だった。ところが、6月に23試合出場で月間打率4割1分、14本塁打、35打点と打ち出の小づちのように本塁打を量産する。7月も20試合出場で打率3割1分8厘、8本塁打、17打点。8月は23試合出場で打率4割4分、12本塁打、25打点と相手バッテリーは抑える術が見つからない。

 他球団のスコアラーは、ある変化を指摘する。

「6月以降にグリップの位置が少し下がり、ミート能力が格段に上がった。春先よりスイングがコンパクトになったように感じるが、インパクトの瞬間に全ての力を伝える打ち方ができているので飛距離が変わらない。村上のすごみは内外角問わずにスタンドへ運ぶところです。王貞治さん、バレンティンは引っ張った打球が本塁打の大半を占めていたが、村上は外角の球は逆らわずに左翼席へ運ぶ。苦手なコースがないから打率も上がっていく。投手のレベルが上がり、直球が150キロを超える投手がゴロゴロいる中でこの成績はすごい。まだ若いですし、末恐ろしいです」

(ライター・梅宮昌宗)

AERA 2022年10月3日号より抜粋

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