illustration 倉田けい
illustration 倉田けい

■地域の祭りに参加して

 今回は5ジャンルのなかでも、マンション価格が高騰するなか、割安感が大きくなっている戸建てを購入するときのポイントをピックアップ。なかでもご自身も選んだ「注文住宅」の購入ポイントなどについて、倉田さんに聞いた。まずは戸建て住宅を選んだ理由から。

「今回ご協力いただいたファイナンシャルプランナーの泉美智子先生が、意外にも最初におっしゃったことがあって。『マイホームを持つことで叶(かな)えたい暮らしがあるなら、(金額より)それを大事にするのがいいんじゃないかしら』と」

 最終的に倉田さんも、カジュアル引っ越しで「ここに根ざして暮らしていきたい」という覚悟を持てた地域に注文住宅を建てることになる。

「新居に引っ越してまもなく、賃貸暮らしのときはほとんど参加したことのなかった地域のお祭りに参加したんです。そのときですよね。あ、地域に根ざすというのは、こういうことなんだと実感がわきました」

■土地購入前にすること

 一方、戸建て購入の決意は、カジュアル引っ越しした戸建て住宅での、ちょっとした瞬間にも訪れた。引っ越し当日のこと。2階にあった和室の畳の上で「実家にいるみたい」と思いながらごろんと横になると、

「1階から夫と息子の声が聞こえてきたんです。欲していたのはこの感覚……。私のなかで、戸建て購入が決まった瞬間でした。カジュアル引っ越しには、費用がかかりますが、家はとにかく大きな買い物。夫婦とも実家を出たあと長くマンション住まいをしてきただけに、リアルな戸建て生活を体験するのに、とても役立ちました」

 そうしてターゲットが「注文住宅」と決まったら、まずは土地購入から……と考えがちだが、今回倉田さんが取材した、注文住宅購入を体験した先輩家族の場合は、なんとハウスメーカーの選定が最初だったという。

「五つのジャンルのなかでも、もっとも予算オーバーを起こしやすいのが注文住宅だと感じました。例えば、いいなあと思う土地を先に買ってから家を建てようとすると、建物に予想外の費用がかかることも多かったり、法律上のしばりで思った間取りが建てられなかったり。そんな失敗談も“あるある”のようで、今回話を伺った“注文住宅の先輩”とも盛り上がりました」

 まずは複数のハウスメーカーとやりとりしつつ、建物にどれくらいのお金がかかるかを把握。同時に土地も探して、これぞという土地にめぐりあったときに、ハウスメーカーにラフ図面を描いてもらい、思った家が建てられることを確認したら、即、土地を購入……というハウスメーカーと土地選定の“デュアル進行”が吉だという。

 こうして、土地を買い、家を建てて住むまでの総額費用を、どこまで正確に把握できるかが、注文住宅購入の、資金面での成功の鍵になる。

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