illustration 倉田けい
illustration 倉田けい

■マネープランを作る

「家を建てるには建物本体工事費や土地代の他にも土地の造成費や地盤補強工事費など細かい費用がかかり、総予算の約2割ほどとなることが一般的だそうです。よく広告などで○○万円でマイホームが手に入る!などと書かれていますが、○○万円は建物の本体工事費のみ……ということもあるようです。“先輩”も言うように、契約の段階でハウスメーカーに、素人が想像もつかないような追加の経費を入れた『考え得る費用をすべて含んだ総費用』を出してもらうのがいいと感じました」

 資金計画では、そうしたテクニカルな技をしっかり押さえつつ、「まずは夫婦でライフプランを踏まえたマネープランをしっかり作ること」がファイナンシャルプランナーの泉さんのおすすめだった。

 まずはマネープランの表の作成だ。夫婦それぞれの年齢(80歳くらいまで)を書き入れた表に、理想の人生を書き込み、いつどんなお金が必要になりそうかシミュレートする。

「不動産屋さんがこうした表を作ってくれることもありますが、それより夫婦でじっくり考えをすりあわせるなどしながら、自分の手でマネープランを作ることが大事。完璧なプランができるかどうかより、作る過程が重要ということが、取材を通してよくわかりました」

 額が大きいマイホームの資金計画では、固定金利のローンか変動金利のローンかなど、誰にも正解がわからない選択を迫られたあげく、のちのちの支払額が大きく変わってしまうということも。とはいえこのマネープランが借入金や月々の返済額などを決めるときの道しるべになるほか、例えば転職など、人生の局面で立ち止まって考えたり見直したりするときにも心強い指標になってくれたりする。

 家を買うことは、人生を考えること。さあ、お買い物にでかけよう。(ライター・福光恵)

AERA 2022年9月26日号