ネット上の「反省会」も話題となっているNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」。いよいよクライマックスが近づくが、有終の美を飾れるのか。ドラマウォッチャーらに聞いた。
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「ちむどんどん」とは、沖縄の方言で「心がわくわくする」という意味。テレビの前の視聴者も、黒島結菜演じるヒロイン暢子と比嘉家の面々の生き方に、毎朝「ちむどんどんする!」と叫びたかったかもしれない。
だが、いざ放送が始まると、SNS上には「ちむどんどんしない」の声があふれ、作品へのツッコミや不満が続々投稿された。「#ちむどんどん反省会」というタグが誕生し、トレンド入りする現象も起きた。マーケティングコンサルタントの西川りゅうじん氏は「沖縄の言葉でイライラは“わじわじ”ですが、ちむどんどんならぬ、『ちむわじわじ』になってしまいましたね」と言い、理由をこう説明する。
「事実は小説より奇なりと言いますが、このドラマは現実でもありえない『想像の限界より奇なり』な描写を見せ続けた。事故でけがした人の入院先に黒い服で数珠を持って駆け付けるなど、朝から不快で非常識きわまりない映像を見せつけられ、笑顔になれるはずがない」
「まさかやー」な展開も度が過ぎたのか。朝ドラに詳しいメディア文化評論家の碓井広義さんは、ストーリーの安易さを批判する。
「沖縄から上京した暢子がたまたま知り合ったのが沖縄県人会の会長(片岡鶴太郎)で、沖縄出身の人たちが集うお店をバイト先兼下宿先として紹介した上、銀座の一流店への就職まで世話してくれる。これをご都合主義と言わずしてなんと言うでしょう(笑)。沖縄復帰50周年という節目の年のドラマなのに、復帰後の沖縄の変化なども丁寧には描かれない。とにかく沖縄絡みの作品にすることありきだったように感じてしまいます」
主人公である暢子が“困った”人物であることも気になるという。
「彼女は一貫して自分勝手で、自分がしたいと思うことをTPOも無視して大声で口にしてしまう。明るく前向きなヒロイン像は朝ドラの定番ですが、暢子の場合は『素直でいいね』という範囲を超え、非常識で無遠慮に見えてしまい、共感できない。ことあるごとに『ちむどんどんする!』とタイトルコールのようなセリフを叫ぶヒロインも、いませんでしたよね」