佐喜真淳
佐喜真淳

 一方、下地氏が出馬したことで、保守分裂選挙になるのは必定だ。下地氏は昨年の衆院選で沖縄1区から無所属で立候補し、約3万票を獲得。結果的に、オール沖縄の候補当選を“アシスト”する形になった。14年の知事選にも出馬しており、約7万票を集めた。

「下地氏は佐喜真氏の票を食うことになるでしょう。下地氏の兄、下地米蔵氏(大米建設取締役会長)は前沖縄県建設業協会会長です。建設業界からも票が下地氏に流れると思われます」(地元政界関係者)

 沖縄の保守系政治家ではエース的存在の佐喜真氏だが、陣営は危機感を強めている。さらに、佐喜真氏は旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の関連団体「天宙平和連合(UPF)」のイベントに参加していたことが報じられた。「旧統一教会との認識はなかった」などと説明したが、苦しい立場に置かれている。佐喜真氏は辺野古を容認する一方、30年度までに米軍普天間飛行場(宜野湾市)返還の実現、沖縄振興予算3500億円を確保するとアピールする。

 知事選の告示直前の23日、内閣府は23年度の沖縄振興予算概算要求を2798億円とする方針を固めた。10年ぶりに3千億円を割り込んだ22年度の要求額から、さらに200億円の減額だ。沖縄振興予算は13年、当時の安倍晋三首相が仲井眞弘多知事に21年度までに3千億円台の予算確保を約束。その後、仲井眞氏は政府の辺野古埋め立て申請を承認した経緯がある。

 こうした政府の対応に、沖縄国際大学大学院教授の前泊博盛氏が怒りを込めて語る。

「これ見よがしに200億円も減らしてくるのですから、いじめであり恫喝です」

 政府の強硬姿勢のもとで、オール沖縄を支えてきた有力経済人の「金秀グループ」の呉屋守将会長、「かりゆしグループ」の平良朝敬会長が相次いで離脱した。オール沖縄における玉城氏の求心力の低下も懸念されている。

 新型コロナウイルス対策では、全国ワーストの感染状況を招いた。今年6月には玉城氏自身もコロナに感染しているが、親族の感染が判明した後も県議会本会議に出席して批判を受けた。また、県庁での有識者会議前に「ゼレンスキーです」と発言し、その後の記者会見で陳謝している。

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基地配備では玉城氏にも厳しい声