
見るたびに不用品が出てくるので、プロジェクト終了までに家の中を3回見直しました。特に手放すのが大変だったのは、大好きな洋服たち。お気に入りの洋服はやさしく手洗いをするほど大切にしていたので何年経っても状態がよく、手放すのは痛みを伴う作業でした。
悩む洋服は数日間壁にかけ、「もう着ないよね」「でも、片づいたら気分が変わって着るようになる?」と自問自答を繰り返しました。そうやってとことん悩んで手放してみると、心が軽くなったように感じます。後悔することもあまりありませんでした。
物が減ってから収納する片づけを進めてみると、やる作業はとてもシンプルなことに気づきます。
「家の中に物の住所を決めて、出して使った物を元に戻すだけ。住所にいなかったら『留守だ』と気づけるから、探して戻す。これだけのことを習慣として身につけるだけで、家の中がきれいになるんですね」
子どもたちは「家の中が片づいているっていいね」と話し、ジュリアンさんが「ママ、片づけ方を知らなかったみたい」と笑ったことも。習慣化するということは、何回もやって体で覚えることだと思っていたけれど、知識を持ってからやるかどうかで結果がまったく違うと言います。

「いつも片づいているから手際がよくなり、仕事も家事も時間短縮できました。できた時間で、トレーナーをしているボディーワークのレッスン内容をブラッシュアップしています。あと、いつか“姿勢”について学校で授業もしてみたい。本当は忙しいからちょっとあきらめかけていたんですけど、片づけを通して成功体験ができたら自信を持てて、前向きになれました!」
土台である家が整ったから、外に向けてスタートできるようになったと語るジュリアンさん。

実は、片づけの途中で不用品を捨てているうちに、「こんなにいらない物ばかりで、自分のことを粗末に扱っていた」と涙があふれたことも。片づけるということは、自分と向き合って自分を大切にすることだと感じました。子どもたちにも自分を大切にするように伝えたい、と言います。
今のジュリアンさんの背中を見て、きっと4人の子どもたちも自分のことを大切に考えて育ってくれることでしょう。自分が片づけることで、家族が変わる。そこには、もちろん本人の努力が必要なのですが、片づけのパワーのすごさを改めて見せてもらいました。
※AERAオンライン限定記事