
『サザエさん』をはじめ、『いじわるばあさん』『エプロンおばさん』など、昭和の一般家庭を舞台に傑作漫画を多数描いた長谷川町子。町子の自伝的な作品『サザエさんうちあけ話』を特集した企画展が、現在、東京都世田谷区の長谷川町子記念館で開催されています。
【貴重な原画、資料の数々】
本展では「サザエさんうちあけ話」に掲載されている原画を、間近に見ることができます。さらには、町子が歩んだ時代背景を伝える新聞記事、町子の幼少期や女学生時代の写真など、貴重な資料も鑑賞できます。

その他、町子の姉であり姉妹社(町子の作品を出版した会社)の社長でもあった長谷川毬子さんが新進気鋭の女流画家時代に描いた挿絵、町子の師匠である「のらくろ」の作者・田河水泡について綴った原稿用紙などが、「うちあけ話」のエピソードを補足する形で展示されているのも本展の魅力のひとつです。
原画をよく見ると、新聞連載用にモノクロで描いた後、単行本にする際は改めて色を付けている行程が分かるなど、町子の丁寧な仕事ぶりが伺えます。
【朝ドラの原作になった「うちあけ話」】
『サザエさんうちあけ話』は昨年の9月から今年2月まで、NHK・BSプレミアとBS4Kで再放送された朝の連続テレビ小説「マー姉ちゃん」(1979年放送)の原作本。町子が「マー姉ちゃん」のオープニングのために描いた背景画、ドラマの撮影見学に訪れた毬子さんと熊谷真実さん、田中裕子さん、藤田弓子さんら出演者との記念写真などが並ぶ「マー姉ちゃんコーナー」もありました。

驚いたのは「マー姉ちゃん」劇中で使われた「サザエさん」の四コマ漫画を、町子がドラマのために、わざわざ描き下ろしていたこと。ドラマの中では、マチ子役の田中裕子さんが描いたように映っていたわけですが、町子自ら復元してドラマに提供したそう。これは非常に貴重な作品と言ってよいのではないでしょうか。必見です。