作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストとして活躍するジェーン・スーさんによるAERA連載「ジェーン・スーの先日、お目に掛かりまして」をお届けします。
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先週ご紹介した冷却スプレーも3缶目に突入いたしました。暑い、暑すぎる。
さて、子どもの頃はどうやって涼をとっていたかを思い返してみるに、それはプールでした。夏休みはほとんど毎日通っていた記憶があります。
家から歩いてすぐのところに屋外区民プールがあったので、小学校低学年の頃は家から水着を着てぐるりと筒状にしたバスタオルをかぶり、入場料の100円玉を握りしめてペタペタとビーチサンダルで走っていっていたっけ。
いま考えるとおおらかですね。バスタオルをかぶっているとはいえ、小学生女児がひとり水着で住宅街を走っているわけだから。なんというか、シュールでもある。子どもひとりでも入れてくれた区民プールにも感謝です。
帰宅すると母親が茹でてくれたトウモロコシを頬張り、風通しの良い廊下に敷かれた布団の上で昼寝。キッチンやリビングにクーラーは入っていたものの、廊下は風のみが頼りでした。それでもぐっすり眠れたのだから、いまよりは涼しかったのでしょう。あの時間は至福だったなあ。
さて、私はいまこの原稿を、半裸に近い状態で書いています。休日の事務所で。クーラーは、スイッチを入れたばかりでまだ利いていない。原稿を書いたら灼熱の自宅に戻り、また半裸になるのでしょう。
日本の夏がそんな状態だと、いまの子どもたちが大人になったらどんな風物詩を思い浮かべることになるのかと危惧したところ、子を持つ親である友人から「夏休みはプール」と聞いてホッと胸をなでおろしました。というか、やはりプールなのか。
夏休みの子どもは体力が有り余っていますものね。親としては、適度に発散させたいところでしょう。そうなると、やはりプールの出番。