「先発ローテーション」という概念を崩す必要も出てくるかもしれない。全員を「中6日」とするのではなく、翌日の疲労度によって間隔を変えていく。もしローテーションを崩したくないのなら、「球数」とりわけ「パワーピッチ(全力投球)を要した球数」をカウントし、管理すべきかもしれない。力の抜きんでた投手は、うまくエネルギー消費を抑えながら投げられるが、体力のない、力のない投手はそうはいかない。投手個々の力量に合わせた「登板間隔」を見ていく時代に入ってきているかなと思う。
これからの野球界がどこに向かうのか。メジャーリーグのように、三振かホームランのような野球がいいのか。ただ、世界中から才能が集まるメジャーリーグとは違う。全員が大谷翔平や村上宗隆ではない。やはり日本の「考える野球」は絶対に必要なことだし、ファンの方々も、今回の日本シリーズのように1点を争う攻防を望んでいるだろう。
年の瀬になると「今年1年」を俯瞰(ふかん)してみる。2021年はどうだったのか。その反省と期待を持って2022年を迎えたい。
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
※このコラムは2021年12月に執筆されました。
※週刊朝日 2022年1月7・14日合併号